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Track7:ふしぎ工房 バーを出ると、まっすぐ家に向かった。ところが、相当くないはずなのに、なかなか辿り着けない。ふらふら歩いているせいか、時間がかかってしょうがない。「飲みすぎだか…」そう呟いていると、気付いたら、西側のフクロウ工事にいた。「ああ、どうだうわ...」辺りを見回してみるが、まったく見覚えない場所だ。ふと、視界の端に奇妙な看板を見つけた。取りたに筆で殴り書いたような文字で「ふしぎ工房」とある。「…なんだこりゃ!」
近付いて見ると、看板の隣の戸口に「どなたでもお入りください」という張り紙がある。こんな住宅外のど真ん中にどんな了見で店を開いてある。どうせ改めに金冠なんかだろう。こういう奴がいるから世の中ちっともよくならねんな。用意も手伝って、自分の事をたまにあげて、腹を立てた。「ふざけあがって!」張り紙を引きあがし、今度は隣の看板に手を挙げた。すると、足元で猫が激しく鳴いた。視線を落とすと、全身総毛だった黒猫が俺をにがみつけている。「なんだこいつ!」蹴ろうとしたら、今度は息をよく噛み付いていきあがった。「この野郎!」振り払おうとしたら、猫はさっと身をひるがいし、軒下に逃げ込んだ。俺は気がお障らずに、張り紙伸してあった引き戸を生き良いよく上げた。こうなったら、飼主ともども張り倒してやる。 俺は中にズンズンと足を振り入れた。すると、倉庫の中のような伽藍とした部屋の中央に大机があって、そこに老人が座っているのが見えた。俺は構わずに老人の前に進み出た。「おい、あんたんと俺も倒れの猫が俺に怪我を負わせたよ。一体どうしてくれる?」老人が眼鏡の縁を持ち上げると、冷ややかに言った。「おお、それはすまないことをした。だが、お前さんも張り紙が破っただろう?お愛顧じゃないのかね。」「な、何?!」「それにここはお前さんのような悪い奴が来る所じゃない。とっとと帰りなさい!」
他人に一番言われたくない言葉を聞かされ、俺の身気にぴくりとしがなよった。「なぜ俺が悪い奴だと?」「顔を見れば分かる。」「この糞爺!」俺の拳が前に出る瞬間、老人の眼がギラリを光った。一瞬消えたかと思うスピートでパンチをかばすと、逆に、俺の顔面に拳を叩き込んできた。仰け反りながら後退する俺を衰微に冴えるように老人の拳が追ってくる。散々叩きのめされたあげく、床に撃沈にした俺は次に容認も恐ろしい光景を見た。老人が大きな突けも乗れしを振り翳して、正に俺根が手で振り落とそうとしているところだった。老人の口元がにやりとした。きっとこれが悪い夢に違いない。でなければ、俺が相手したのは悪魔とした思えない。そこまで考えるのが精一杯だった。着けもど石は迷いことなく、俺の顔面に向かって振り落とされた。その石に向かって絶叫した。「ああ!」という音が聞こえた。気付くと、石は俺の顔に横擦れて、床に減り込んでいだ。
暫くして、老人の前にしょんぼりと背中丸目で座っている自分がいた。「で、ご注文は?」「いやめ金は勘弁してください。」「馬鹿者!ここでは幸せを売っておる。」「あ、そうか。幸せも金で買えるもんな。」老人の平手が飛んだ。「早く願いを言え!」「願い?俺の願いは…いい奴になることです。」「ぎゃ、これに。」老人は注文書と鉛筆を差し出した。俺は言われるのままにそこに願いを書き込んだ。老人はそれを受け取ると、今度は控えと「請求書」と書かれた封筒を寄越した。「代償は高く付くぞ。」老人の口元がまたにやりとした。ついに悪魔と契約してしまった。
Track8:危険なやつ
はっとして目覚めると、そこは俺の部屋だった。時計を見ると、もう朝になっている。夢だったのか。俺はほっと胸を撫で下ろした。と同時に、心底夢でよかったと思った。それほど恐ろしい夢だった。正に悪魔だ。びっしょりと汗を掻いている。急いでシャワーを浴びてから服を着替え、自宅マンションの後にした。行先はあのアパートだ。
「うん?あれは~」アパートに近づいたところで、俺はさっと身を隠した。「もう来てやる。」女の部屋の前に、何人がたごろしている。これでは容易に近付けない。まさかあいつドアを開けたりしないよな。もうここにはおいておけない。一刻も早くすれ出さなければ…そんな事を考えながら、近くにファムレそう見つけた早い。暫く様子を見ることにした。大分時間がたってくるが、漸く人影が消えた。もう時間は夕にしょうぼにあってから、随分待たされた感がある。まだどこかにひそんかもしれない。辺りに注意に払いながら、鍵を使ってさっと中に滑り込んだ。
女は部屋の隅に蹲るようにしていたが、俺が入ってきたのが分ると、あっと声をあげて、這うように近づいてきた。大丈夫かと声をかけると、震える声で、夕べから何人ものが来て、怖くて眠れなかったと言う。額に手を当たると、もう熱は下がっているんだ。見回すと、言い付け通り薬を飲み、食事も水分も取った形跡がある。もう大丈夫だなと判断して俺は凍えて言った。「ここにいても危険だ。簡単に身の物を持って出よう。」女は素直に「はい。」と頷いた。胸に軋みが走る。俺も連中と同様危険な奴なんだよ。という心の呟きを振り払うように急ごうと女に音がした。実は近くにタクシーを止めてある。自分や会社の車は足が着く可能性があるから、極力使わない。俺は常に万全な注意を払っている。アパートの周囲を伺いながら、俺は女を連れてタクシーに乗り込んだ。これで全て上手くいく。俺はそう思った。どこに行くんですかと女が聞いた。俺は終始無音だった。
Track9:真実
最初は事務所に向かうつもりだった。ところが、気付くと俺は女を自分の部屋に連れ込んでいた。どうしていいか分からない様子の女に俺は言った。「ここは俺の部屋だ。ほかにおもやとる場所がなかったから連れてきた。当分はここに身を隠せばいい。その後の事はまた考える。好きに使ってくれ。」手を取って、部屋の配置や家具の場所を教えた。そして、「出て来る。」と言い残し、自宅マンションを後にした。俺は歩きながら、次に取るべき行動を考えていた。とりあえず事務所に顔を出し、まだ交渉に時間がかかると言っておこう。後の事はどうすればいいか思いつかないが、今日は一日くらいは持つだろう。いざとなったら、やはり女を差し出すしかないかもしれない。 夜になって部屋に戻ると、女が「お帰りなさい。」と言って、笑顔で出向いだ。ああ?一人暮らしが長かったから、耳慣れない言葉に内心戸惑った。すると今度は居間の方から何やらいい匂いがしてきた。見ると、テーブルの上に食事の用意が出来ている。
「こ、これ、作ったのか?」「あり合わせですけど...」という女の言葉に「冷蔵庫には大したものは入ってなかったはずだがと考えている」と、「家から少し持ってきましたから」と、女が言った、ただでさえ、三品の他人の家で食事を支度をするのは大変だ。しかも、目の不自由の体で、派としてそれが可能かどうか。さぞかしい苦労をしたに違いない。俺はものも言わずに食卓に着くと、料理に手を付けた。今まで生きていて、これほど旨いと感じた事はない味だった. 食事を済ませ、女を風呂に入れた後、俺もシャワーを浴びた。寝室では女をベッドに寝かせ、俺はソファーに横になった。暫くウドウドしていたら、ソファーに女が座っている事に気付いたた。「…どうした?」すると女は「借金は必ずお返しします。私にできる事なら、どんな仕事でも構いません。」と言った。俺は仰天した。「あ、し、知っていたのか?」女は「はい。」と言って頷くと、「私も馬鹿じゃありませんから。」と、笑って見せた。そして、「どうせ誰かに連れて行かれるなら、一番優しくしてくれたあなたについて行こうと思いました。」と。「優しい」という言葉と、この女の純粋さに打ちのめされた気がしたと同時に、俺はつい自分に嘘がつけなくなった。女を強く抱きよせた。女も俺の胸の中に顔を向けた。俺の腕の中で女は泣いていた。俺はこの女が愛しくてたまらなかった。その夜、女を抱いた。そして、抱き合ったまままんじりともせずに朝を迎えた。
Track10:決心 早朝、女を連れて自宅を出たが、女が覚悟を決めている様子だった。タクシーで駅へと向かった。ホームに入ってきた列車の指定席に座らせると、ここで漸く異変に気づいたように「え?」と言って、見えない目で立ったままの俺を見上げた。俺は強く言って聞かせた。「いいから、向こうに着いたら、出向い変えて、電話は事情で話せてある。きっと、力になってくれるはずだ。」女は「でも...」と言って、俺の手を強く握った。「大丈夫から。俺の後から必ず行く!向こうで待ってるな。いいな。」発車のベルが鳴り響く、話そうとしない女の手を振り切ると、ホームに飛び寄りた。列車の窓を叩きながら、こっちに向かって必死に何かを叫んでいる女の姿が目に入った。それに、列車が小さくなって見えなくなるまで見送った。これでいい。俺は決着を付けなければならない。だから、一緒に逃げる訳にはいかない。どの道無事に済むとは思わないが、とうに覚悟ができている。
駅を出たところで男たちに囲まれ、無理矢理車に押しくられた。着いたのは事務所だった。社長の前に引き摺る出された。社長はかなり不機嫌な様子だった。「他社から来るエムが入っている。お前が女を連れて逃げたとな。俺は「え?」という顔で社長を見上げた。アパートから連れ出した時、やはりどこかで見られていたことがある。「無事に債券を肩代わりしろうと言ってきてるぞ。一体どうするんつもりだ!」社長の蹴りが腹に減り込んで、俺を渦変った。俺は震える手で持っているばっかから、マンションの権利所と、全財産を入った通帳と印鑑を差し出した。「こ、これで見回してもらいませんか?」社長はそれを受け取ると、ぱらっと何かを確認してから、机の上にバサッと置いた。「ほう~準備してきているとはいい心掛けだな。それにしても、ずいぶんとうちで稼いだじゃねえか。だから、これじゃチットばかりたらねんだよ!」なたしても社長の蹴りが入ったが、俺は咳き込みながらこんげんした。「頼みます。俺は俺どうなっても構わないから。女だけは...」「はあ~いいだろう。どの道お前にはたっぷり仕事をしてもらわなきゃなんないかな。社長は背を向けると、混んだん周りの男どもが俺を袋んし始めた。特に後輩の奴には滅入りの俺に蹴りを浴びせながら、「ははは!いつも先輩吊らして、おろいた盛り上がって!邪魔ねえ!へははは~!!!」今度は顔を蹴られて、床を転がった。息も絶え絶えな俺の耳に社長の声が聞こえた。「女を探して連れて来い。」と。「ま、ま、待って!約束が違う!」「約束?そんな物が有効かどうかお前が一番知ってるだろう。示しが付かねんだよ!」今度の社長の蹴りは俺にしっかり受け止められたまま行き場を失った。それを救いあげると、社長はもんでりゅって、引きがんだような罷免を上げた。気付くと俺は周りの男たち全員をぶちのめしていた. 俺は会社のビルを出て、よろよろと歩き出した。手を上げてタクシーを止めた。駅に向かって、列車に乗るだめだ。その時だった。背後からおたきびがして、振り返ると、ドスンと、腹に突き刺さる物があった。「ははは!つばびあがる!」そう叫んで走り去っていく後輩の背中を見ながら、俺は仰向けに倒れた。腹が物凄く熱い。俺を中心にちだまりが出来ているのが分かる。だが、体がいることを聞こえなかった。
Track11:走馬灯 「俺は死ぬのか?...」過去の思い出が走馬灯のように甦った。小さい頃から人と違うと言われ続けてきた。途中から自分でも違うと思うようになった。いい意味じゃない事にはすぐに気付いた。「落ち零れ」、それが俺に与えられた称号だった。「落ち零れ」は落ち零れらしく生きていくしかない。そして俺はろくでなしの隣り、ろくでなしのまま死のうとしている。まったく!俺らしいと思った。
すると、黒猫が俺の傍に来て、顔を舐めた。見ると、あの「ふしぎ工房」の猫に似ている。俺を慰めているのか?俺は猫に問いかけた。「なぁ…俺はいい奴になったかな…」黒猫が頷くように「にゃあ」と鳴いた。「…よかった…」そこで俺は爺さんの「代償」という言葉を思い出した。「そうか…大きな代償というのは俺の命だったんだ…」俺は当座から意識の中で、自分が幸せになった考えに良いし得ていた。もう思い残すことはない。そう思ったら、意識が取りてた。
Track12:epilogue 意識を取り戻したのは病院のベッドの上だった。側に、俺の手をしっかりと握っている女の顔があった。泣き腫らして真っ赤の目をしていた。「なんで?」俺の問いの意味が分かったように女は首を横に振った。あの後、俺が無事では済まさないと感じて、すぐ列車に変え、戻って来て、警察に駆け込んだと言う。目が見えないから、相当な苦労だったろう。「俺は生きていてよかったのかな…」女は言葉でさえいるように、俺にすなりづき、一緒に出直そうと泣いた。俺の目からも一筋の涙が溢れ、頬を伝った。
俺の回復を待って、警察の事情聴取が始まった。俺は今までにやってきた事を洗えざらいことにした。今回の件に関しては、被害者と見ためられたが、それで罪が消えて訳ではない。俺は償わなければならない。あいつのためにも。
服役してから、時々爺さんのことを思い出していた。「ふしぎ工房」はやり有名だったのだろうか。受け取ったはずの控えと請求書は今も見当たらない。それでも、俺は倒れた時に現れた猫は間違いなくふしぎ工房の猫だと思う。「大きな代償」とは俺の命ではなかった。むしろ、大切な人を守るために頑張って生きていく。それが俺に与えられた幸せの「代償」だと爺さんが言いたかったのかもしれない。
そして一年後、俺は晴れて出所の日を迎えた。その俺をあいつが待っていた。生まれて間もない赤ん坊を抱きかかえて。
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